第一話

 この大陸には、かつてもう一つの国があった

 全ての神に仕え、他よりも強い力を持つ者達の住みし国 ウェクト

 ケトラ砂漠の南、フリエラ川の河口に存在していた


 他の種族の血が混じるのを恐れ、国の周りを高い塀で囲っていた

 その国の歴史、伝説、全てを語る者は、おそらく残ってはいない


 何故なら、全ては海に沈んでしまっているのだから

 風の便りによれば、一部の人や物だけは、難を逃れ、ひっそりと息づいているらしい


 ウェクトが海に沈んだ理由

 それは、力の暴走とも、神の天罰とも、フリエラ川の氾濫とも言われている


 ただ、ある日突然消えてしまったことだけは確かだ


 そう、時にして今から百年前…蒼瑠璃一〇五六年 夏の赤月の終わりに…


 この物語は、天運に定められし者達のものである

 天運…すなわち人が持ってして生まれもつ星のこと


 それが、定められし事か、神の悪戯か、はたまた誰かの力かは誰にもわからない


 人は生まれもちし天運に逆らうことは出来ない

 どんな力を持ってしても…


 だが、己自身の力で変えてゆくことはできるはず

 そう天運を変えるのは、己自身の力のみ…


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